手描き建築パース
パソコンソフトによる建築パースが主流になり、合成写真による建築パースが出現したりしてくる中で、現在でも根強く使われているのが、手描きによる建築パースです。
手描きの建築パースは、色鉛筆を使ったものもありますが、主に水彩画で描かれます。
手描きの建築パースの長所は、なんといっても温かみです。建築パースの役割として、見た人にその建築物に対するイメージを沸かせるというものがあります。
そのため、住宅や百貨店など、癒される空間や多くのお客様に好印象を持ってもらいたい建築物の場合、建築パースを手描きにすることで、温かみがあり、親しみのあるイメージを持ってもらえるようになります。
一方で手描きの建築パースには、時間と費用、労力がかかるという短所があります。また、色の変更や視点の変更など、ちょっとした変更にすぐに対応できないという点も、短所として挙げられます。ですから、手描きの建築パースは使い方と使う相手を選択する必要があるものといえます。
手描きで建築パースを描きたいという人には、専門学校で学ぶことも有用な方法ですし、インターネットで描き方検索をしたり、図書で勉強をしたりするというのも可能な方法です。独学でも学べるものですが、誰か先生に教えてもらうと、もっとわかりやすく、理解しやすいでしょう。
手描きの建築パースを描く時のポイント
手描きの建築パースを描く時の重要なポイントは、どの地点から、どの場所を見ているかということを明確に決めるということです。
地面に立った人が、建築物を見上げているような建築パースを描くのか、他の建物の上階部分から、建築物を見渡しているように描くのかによって、見た人が受ける印象も全く変わりますし、もちろん、描き方も全く変わります。
とはいえ、最も多い視点は、人が地面から立って見ているアングルで、この場合、おおよそ1.5メートルの高さの位置から建築物を見上げているという建築パースを描くようになります。この1.5メートルというのは、人の目の高さの平均です。
全くの地面からのアングルでは、地面に横になってみているようなものなので、見た人のイメージを崩してしまいかねません。この1.5メートルという位置を決めたら、まずそこに水平線を描くようにするとよいです。そこがアングルの基本点だということです。これが狂うと、建築パースはバランスが崩れ、失敗してしまいます。
多くの建築パースは、一点透視図法と呼ばれる、遠近感を出すための焦点となる位置が一つの透視図法です。透視図法とは、遠いものは小さく、近いものは大きく描くことで遠近感を出すという技法です。建築パースを描くのに便利な、透視図法を描くための線が描かれた作成図も市販されていますので、最初はそれを使って練習していくと、描きやすいかもしれません。
また手描きの建築パースを描く時に、仕上げとして行なう着色では、グラデーションに気をつけて描くと、より立体感のある、質の高い建築パースとなります。この着色は、手描きの建築パースの温かさを出すうえでも重要なポイントとなるので、仕上げだといって気を抜けません。
建築パースを描くのは難しいものですが、現在では、K式簡易パースなど、民間の会社が独自に開発した建築パースの手描き用参考書もあります。これらを勉強して慣れるのも、良い方法かも知れません。
仕事として建築パースを描くには、専門的なデザインの勉強が必要になると思いますが、趣味として建築パースを描いてみるのも、絵を描くことが好きな人なら面白いものになると思います。
慣れてくると、家の外観の建築パースだけでなく、インテリアや構造を描いた建築パースも可能になるかもしれません。手描きの暖かみのある建築パースは、どんなにデジタル機能が発達しても、すたれることはないでしょう。